制御盤の電源ラボ
機械装置は、工場の三相200V(小さな装置はコンセントの単相100V)を制御盤に取り込み、盤の中で動力 200V・制御 AC100V・制御 DC24V に分けて使います。押しボタンのランプ・表示灯・リレーなど、人が触れる所や数の多い部品は DC24V で動かすのが今の標準です。何をどの電源で動かすか、電源の大きさの決め方、ショートした時の違いを試せます。次は端子台と故障探しラボ(実践2)で、この電源を使った盤の配線・線番と、テスターでの故障探しを練習します。
基礎12 PLC実践1 盤の電源 ← いまここ実践2 端子台と故障探し実践3 安全回路実践4 カウンタの装置実践5 インバーターを PLC で実践6 ロボットとの連携実践 機材選定・回路設計サーボ・設備の構想設計
学習用のシミュレーションです。 実機の配線・通電作業は、電気工事士などの資格と社内ルールに従ってください。作業前は元の遮断器を切り、ロックアウトと検電をしてから触ります。
DC24V でも油断しません。同じ盤の中には 200V・100V が来ています。DC24V の線だけ触るつもりでも、元の電源を切ってから作業します。工場の分電盤から盤までの配線・接地工事は電気工事士の仕事です。
盤の条件を選ぶ
盤の電源の流れ(単線図ふう)
動力 200V(黒)制御 AC100V(黄)制御 DC24V(青)接地(緑)ショート・止まった所
線の色は社内ルール(動力=黒・AC制御=黄・DC制御=青・接地=緑)に合わせています。
ショートしたらどうなる?
電源の大きさの計算(例)
消費電力は一般的な例です。実際は使う部品のカタログの値(コイルの突入・保持、ランプの電流)で足し算します(要確認)。
部品ごとの内訳
よくある間違いを試す
3つの電源の使い分け
200V動力:モーター・インバーター・ヒーターなど、力や熱を出すもの。工場の三相200V を MCCB(漏電遮断器)で受け、機器ごとに MCCB・電磁接触器・サーマルで守ります。
AC100V100V の機器用:制御用トランス(200V→100V)で作ります。盤のファン・照明・保守用(サービス)コンセント、AC100V の部品など。100V の機器を使えるよう、200V の盤でもトランスは付けるのを社内の基本にします。電磁接触器のコイルは AC100V か DC24V のどちらも選べます(形式で指定)。
DC24V人が触る所・数の多い部品:スイッチング電源で作ります(200V の盤は AC200V から、コンセントの盤は AC100V から)。押しボタンのランプ・表示灯・リレー・センサー・PLC の入出力・電磁弁・回転灯など。
- なぜ DC24V にするのか
- 触れても危険が小さい。扉の押しボタン・ランプ、機械のセンサーなど人の手が届く所の電圧を低くできます(安全とされる電圧の範囲・水気のある場所の扱いは規格と社内ルールで要確認)。
- ショートしても被害が小さい。スイッチング電源は流せる電流が決まっていて、超えると出力を絞って自分を守ります。AC100V はトランスから大きな電流が一気に流れ、火花・線の焼け・接点の溶着が起きやすい。
- PLC・センサーの標準。PLC の入力、センサー、トランジスタ出力は DC24V が基本です(基礎12)。電源をそろえると部品が共通になります。
- 海外でも同じ。AC100V はほぼ日本だけの電圧です。DC24V なら装置を海外に出しても制御部品をそのまま使えます。
- 注意:DC は線が長いと電圧が下がる(太さと長さで要確認)、+と−の向きがある、リレー・電磁弁のコイルは切った瞬間に高い電圧(サージ)が出るのでダイオード付きを選ぶ、など。
- PLC と DC24V 電源は 200V から直接(社内の基本・2026-11)。三相200V の盤では、PLC(FX5U は電源 AC100〜240V)と DC24V 電源を、CP0(2極)の後ろから 200V のまま入れます。トランスは 100V の機器の分だけで済み小さくなり、コンセント側(100V)でショートしても PLC と DC24V は止まりません。200V は2本とも電圧があると考え、CP は2極で両方を切ります。DC24V 電源が 200V を入れてよい形式か(入力 AC100〜240V など)はカタログで確かめます(要確認)。
- PLC の DC24V サービス電源。FX5U には DC24V の端子もありますが、出せるのは 400mA までで、主に入力(押しボタン・センサー)用です。電磁弁・ランプ・リレーなどの出力には足りないので、DC24V 電源は別に付けます。
- 分けて守る。DC24V を1本の CP で全部まかなうと、1か所のショートで PLC の入力もランプも全部止まります。「入力・ランプ」と「出力・電磁弁」のように系統を分け、DC 用のサーキットプロテクタや電子式の保護機器で守ると、止まる範囲を小さくでき、原因も探しやすくなります(上の「DC24V の分け方」で試せます)。
- コンセントの単相100V の場合。トランスは要らず、100V をそのまま制御に使い、DC24V 電源もここから取ります。一般のコンセントは 15A(目安 1500W)までで、続けて使うなら 8割(12A)以内に。三相モーターは直接回せないので、単相100V 入力・三相200V 級出力のインバーター(例: 富士電機 FRN0.4C2S-6J・販売店の情報)か単相モーターを使います。大きな装置・長時間運転は動力(三相200V)から取ります。
- 接地。盤の箱・扉・機器の接地端子を、緑の線で接地端子台にまとめて接地します(300V 以下は D種接地工事が一般的・要確認)。DC24V の 0V を接地するかしないかは、設計の方針として図面に決めておきます(要確認)。
- トランスと電源は余裕をもって。コイルが入る瞬間の突入電流、同時に点くランプの数、後から増える部品を見込み、計算の 1.25〜1.5 倍ぐらいを選ぶのが目安です(倍率は社内基準で要確認)。
数値(各部品の消費電力・インバーターの入力電流・効率・力率・余裕の倍率)は考え方を学ぶための例です。PLC FX5U-32MR/ES の消費電力 30W は三菱電機のユーザーズマニュアル(ハードウェア編)、MY2N DC24V のコイル電流 約36mA は販売店の情報、オムロン S8VK-C の容量(60・120・240・480W)は販売店の情報によります。実機はメーカーのカタログで確かめます(要確認)。